2011年3月11日の東日本大震災から10年が経ちました。WATALISは、たくさんの方々からの応援の声に支えられてまいりました。いつも本当にありがとうございます。
おかげさまでこれまで約8t以上の着物を取り扱い、亘理の女性たちの手で再び世に送り出すことができました。

 

一方で
着物地のアップサイクル事業を継続し、雇用を維持すること。
地域のおばあちゃん達が集い、ものづくりが楽しめる場としてカフェーを維持し続けること。
起業したことに比べれば、大きな変化もない地味な活動です。なのに、なぜこんなにも簡単にいかないのかと自分の力不足を情けなく思うことも多い毎日でした。

 

時に折れそうになる私の心を支えてえてくれたのは、「せっかくはじめたのだから頑張れ!」と応援してくれる方々でした。何の見返りも求めずいつもエールを送ってくれる人、専門的な知見を余すことなく伝えてくれる人。
人生の中で、これほど人の優しさや温かさに触れたことはなかったと、改めて感じています。

 

そして、起業してからの私は、家族の一員として、そして母としての役割を限りなく後回しにしてきました。 大きくバランスを欠いた生活ぶりを、半ば呆れながらも見守ってくれた身近な人たちにも心から感謝を伝えたいと思っています。

2月13日の震度6の地震では、事務所内は雪崩落ちた書類や在庫で足の踏み場がなくなりました。震災直後は、「高いところに物を置かないようにしよう」「ものは必要なものだけ最小限を手元に置く」と決めていたのに、すっかり忘れていました。時が積み重なっていくうちに、被災した私たちでさえ、記憶が薄らいできます。
これからも発生し続けるであろう多様な災害に備えること。自分や大切な人の命を守っていくこと。人とのつながりを大切にすること。そして、ちょっと照れくさくても感謝を形にして表現していくこと。震災を体験して強く感じた何よりも大切なことを、自らも体現しながら未来へ伝えていきたいと思っています。

 

次の10年に向けて、新しいチャレンジの計画を立てています。これからもWATALISをよろしくおねがいします!

 

 

株式会社WATALIS代表取締役 引地 恵